甘い愛で縛りつけて
納得してくれたのか、恭ちゃんは少ししてからゆっくりと私の手首の拘束を解いてくれる。
そして解放されると同時に、目の前の恭ちゃんに手を伸ばしてそのまま抱き締めた。
力いっぱい、強く。
恭ちゃんがひとりで自分の感情と戦わなくてもすむように。
「もう、大丈夫だから。
ずっと一緒にいるって約束するから……だからもう怯えないで……」
恐怖がないわけじゃなかった。
子どもって単語に動揺しなかったわけでもない。
正直に白状すればすごく怖かったのかもしれない。
だけど……それさえも感じなくさせるほど大きな感情が、私の中にあったから。
恭ちゃんが大好きで大切で、愛しくて……。
何より、恭ちゃんを失いたくなかった。
ただ、それだけだった。
「私、何もできないけど頑張るから……。
だから恭ちゃんは私の隣で、ずっと安心した顔で笑っててよ……。
好きなの……。だから、恭ちゃんが苦しいのは嫌だよ」
恭ちゃんを抱き締める手が、身体が震えていた。
それが今更襲ってきた恐怖からなのかは分からないけれど、恭ちゃんを抱き締めながらカタカタと震える。
震えるほど怖かったのは、まぎれもなく恭ちゃんの荒い言葉遣いや行為のハズなのに。
その恭ちゃんを抱き締めて安心してしまっているんだから不思議だ。