甘い愛で縛りつけて
何でもないように話してるけど、それは今だからこそ普通に話せる事であって、当時の恭ちゃんは息もつけないくらい必死だったハズで。
親の為に、周りから向けられる視線の為に……ずっと苦しい思いをしてた。
恭ちゃんは多分、表の部分をさらっと話してくれただけで、本当はもっともっとツラい思いをしてたって事は言われなくても分かった。
本当はもっと……言葉にならないくらいにツラくて苦しくて。
それを誰にも支えられることなく、ひとりきりで耐えてきたんだ。
小さい頃からずっとひとりで。
ズクンと痛んだ胸が、まるで握りつぶされるんじゃないかってほど痛みを増していく。
息苦しくなるほどの苦しさに、瞳を閉じてじっと耐えた。
少しでも恭ちゃんの痛みを感じたくて。
どうしたら過去の恭ちゃんごと抱き締められるんだろう。
ひとりぼっちだった恭ちゃんを、今この手で抱き締めたい。
不可能な事だって分かっていても、それを望まずにはいられなかった。