甘い愛で縛りつけて


雨は止んだようで、いつの間にか窓を叩く音はしなくなっていた。

話し終えた後、少し黙っていた恭ちゃんは不意に立ち上がると、冷蔵庫の中からミネラルウォーターの入ったペットボトルを二本取り出して、一本を私に差し出した。

「泣いたから喉乾いたろ」
「ああ、うん。なんかすごい泣いた気がする」
「俺、正気失ってたけど、あれはさすがに心配になるレベルだったし」
「私も涙腺壊れたと思った。
恭ちゃんに気持ちを伝えながらも、涙が止まらないから視界が悪くて恭ちゃんの表情が何も見えなかったし。
なんか色々不安だった。
でも……恭ちゃんが気にしてくれたなら泣いてよかったのかもね」
「あれを気にしなかったら本当の鬼畜だろ。
本気で実紅を壊したいと思ってたのに……本当に壊れるんじゃないかって思ったらそれ以上何もできなくなった。
なんだかんだ言ってもやっぱり俺はおまえが大事なんだよ。
正気失ってても壊せないくらいに」

なんであんなに涙が止まらなかったのかは、今となっては本当に不思議だとしかいいようがない。
恭ちゃんを想うあまり感情がキャパを超えて受け止めきれなくなったからだけど……もしかしたらそれが恭ちゃんに伝わったのかもしれない。

言葉を超えた想いが恭ちゃんに。






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