甘い愛で縛りつけて
そんな会話はできれば私がいない場所でやって欲しい。
なんだか居たたまれなくなって事務長に今はちょっと……と止めに入ろうとしたけれど。
「言われるまでもないですよ」と恭ちゃんが即答する方が先だった。
驚いて見ると、恭ちゃんは凛とした顔で微笑んでいて。
「一生かけて事務長との約束を守ります」
はっきりと言いきった恭ちゃんに言葉を失っていると、事務長が立ち上がる。
そして、「いい顔だ。今まで見てきた朝宮くんの中で、一番いい顔をしてる」と微笑んでから保健室を後にした。
ふたりきりにされた保健室で、しばらく事務長の閉めたドアを眺めてから……隣を見上げた。
「いいの? 一生だなんて約束しちゃって」
私の言葉に、恭ちゃんはまたしても「いいよ」と即答する。
優しく細められた瞳に見つめられて、どきんと胸が高鳴った。
「俺の独占欲と執着の強さはもう、おまえも分かりきってるだろ。
あと80年くらい、余裕で実紅を想える」
一生だとか、80年だとか。
スケールが大きすぎるし、バカバカしいとも思うけれど。
その言葉を疑う気にはなれなかった。
遠回しのプロポーズみたいな言葉に、微笑みながら恭ちゃんを見上げる。