甘い愛で縛りつけて
「俺と一緒にいれば、また親父に振り回される事もあると思う。
実紅に迷惑もかけるかもしれないし、また不安定になったりしたら……実紅を傷つける事もあるかもしれない」
「……うん」
そっと恭ちゃんの手に触れると、恭ちゃんがぎゅっと手を握り返してくれる。
温かく大きな手を握り返しながら、真っ直ぐに私を見る恭ちゃんを見つめた。
「それでもやっぱり、おまえには俺の傍にいて欲しい」
頷く代わりに微笑みを浮かべると、恭ちゃんも同じように笑う。
「逃げ出そうとなんかしたら、また縛りつけられそうだしね。大人しく隣にいる」
そう笑った私に恭ちゃんは苦笑いを浮かべた。
「まぁ、否定はしないけど……でも、おまえの自由を奪いたいのとは違うんだよな。
俺の一方的な束縛じゃなくて、おまえの意思で俺の傍にいる事を望んで欲しいんだよ」
「縛り付けるより大変そうだけどな」と笑う恭ちゃんに笑顔を返す。
「やっぱり恭ちゃんはおじさんとは違う」
恭ちゃんが伸ばした手で私を自分の胸に抱き寄せる。
ほのかに香る煙草の匂いと恭ちゃんの体温。
心地よくもドキドキする場所に、目を閉じて恭ちゃんの胸に頬を寄せた。