甘い愛で縛りつけて
ただえっちしたいだけなら、今まで通りそういう付き合いの人とすればいいし、誰も連絡つかなくてもその辺でナンパでもしてひっかければいい事だ。
そうすれば、その場限りの楽しい関係で終われるだろうしリスクだって少ない。
恭ちゃんの素性を知っている上、同じ職場の私とこんな事したってリスクしかないのに……なんでこんな事してるんだろう。
恭ちゃんが、何を考えてるのかが分からない。
そんな思いで見つめていると、しばらく黙っていた恭ちゃんがふって笑みを零した。
「許さなくていいし、他も実紅の好きにすればいい」
「好きにって……。なんでそんな自暴自棄な事言うの……?」
落ち着いた声でそんな事を言い出すから問い掛けると、恭ちゃんが微笑む。
その顔がなぜか泣いているように見えて、一瞬言葉を失った。
「一生俺の事恨む事になれば、もう嫌でも忘れないだろうし、さっきみたいに『初めまして』なんて言えないだろ」
「……恭ちゃん?」
「まぁ、もうそんな事言わせないけど」