甘い愛で縛りつけて
◇「今、実紅って呼びましたよね?」
「ええーっ、誰あれっ! かっこよくない!?」
「レベル高いよね!? なんの先生だろ」
「えー、これから紹介があるので、静かにしてください。特に女子」
始業式後の着任式。
体育館のステージ上に用意されたパイプ椅子に座る恭ちゃんの姿に、女子から黄色い悲鳴が上がる。
……黄色? ピンク? どっちだかよく分からないけど。
爽やかさを演出したいのか、今日の恭ちゃんは白いYシャツにネイビーのネクタイ。
相変わらずのインテリ眼鏡で真面目っぽさを出してるつもりだろうけど、茶髪のせいでホストにしか見えないし。
その前に、教員が茶髪ってどうなんだろう。
生徒がダメなのに、教員はしていいなんておかしいし、どう考えたって示しがつかない。
まぁ、茶髪禁止を守ってる生徒もあまり見ないけど。
女子生徒たちの声が響く中、司会の生徒が進行する。強制進行だ
キャアキャア飛び交う声を静まらせるのは諦めたらしい。
「では、ひとりひとりの先生に挨拶をお願いしたいと思います。
今からマイクを回しますので、左から順に、その場で結構ですので挨拶をお願いします」