甘い愛で縛りつけて


なんだ。同じだ。温かい背中も、風に揺れる髪も。
私の知ってる恭ちゃんだ。

そう感じて、ぐったりとしながらも温かい気持ちが溢れてきて、自然と浮かぶ微笑みを恭ちゃんの背中に押し付けて隠した。

家に帰ってすっかり気持ち悪さがとれてからベッドに入って、ホテルに入りながらよく何もなく帰ってきたなぁなんて呑気に考えて。
色々思い起こしているうちに、自分が言った言葉を思い出して、頭を抱えたまま枕に顔を押し付けた。

『いいよ。したいならすれば』

そんな事言うなんてどうかしてたのかもしれない。
していいわけがない。

再会して間もない恭ちゃんと、しかもそんな関係でもないのにいくつものステップを飛び越えていきなり、なんてありえない。
恭ちゃんの事は知らないけど、私にとっては絶対にありえない事なのに……。

でもあの時……確かにそう思ったのも事実だ。

恭ちゃんが作る雰囲気に流されていただけかもしれない。
アルコールのせいで冷静な判断ができなくなってただけかもしれない。

それでもあの時。
迷いもなく、いいよって言葉が出ていた。


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