甘い愛で縛りつけて


恭ちゃんの、寂しさを隠したような横顔だけが気になって、私の持っているモノ全部を投げ打ってでもどうにかしたいって。
瞬間的にそう思った。

なんで、あんな事を思ったんだろう。

恭ちゃんが弱い存在に思えたから?
母性本能とか、そんな感情で?

「――すごい人気ですね」
「え……」

突然話しかけられて顔を上げると、いつの間にか隣に田口さんの姿があった。

生徒が教室に戻り始めた体育館。
何かと思ってその視線を追うと、女子生徒に囲まれる恭ちゃんがいた。

「えー、朝宮先生27歳なんだー。もっと若く見えるよね!」
「ねぇねぇ、彼女とかいないの?」
「一人暮らし?」
「昼休みとか、保健室に遊びに行ってもいい?」

飛び交う質問は、とても保健医にしているとは思えないような内容だった。
恭ちゃんは微笑みを困り顔に崩して答える。


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