甘い愛で縛りつけて


「悪いけど、保健室は体調を崩した人以外の長居は避けてもらいたいんだ。
でも、体調が悪い時には遠慮しないでおいで。
ほら、そろそろ戻らないと。俺も仕事に戻るから」

一応注意してはいるけど、そんなやんわりした言い方じゃ今の女子生徒を教室に戻す事は不可能らしい。
質問の嵐がやむ気配はまったくなかった。

「あの様子じゃ休み時間のたびに保健室が騒がしくなりそうですね」
「まぁ、生徒が活気づいていいんじゃないですか?
ほら、うちにはマドンナ先生はいるけど、男性教員は地味ですし」

出た。デリカシー皆無発言。
明るく言う田口さんに悪気はないんだろうけど、男性教員が周りにいるこの場でよくそんな事が言えるなぁと逆に感心する。

「そうですか? 私は落ち着いてる先生方が多くて好きですけど。
男の人はチャラチャラしていない方が素敵ですし」

田口さんと同属だとは思われたくなくてフォローしながら、ついでに田口さんを牽制しながら、恭ちゃんを眺める。
なかなか離してくれない女子生徒に、微笑みながらも困った顔を浮かべていた。



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