甘い愛で縛りつけて


「ああ、すみません。いつものクセで」
「いつも? 失礼ですけど、おふたりはどういう関係なんですか?」

ああ、もう! 恭ちゃんがあんな事言うから!
あんな言い方したら、デリカシーゼロKY男の田口さんじゃなくても気になって聞くし!

どう答えるのか不安になりながら見上げると、私の視線に気づいた恭ちゃんは、落ち着いた微笑みを返した。

「親戚なんですよ。だから家も知っていたし、送って行ったんです。
いくら教員同士といえども、夜道をふたりきりで歩いているところを生徒の親にでも見られたら、変な噂が立つかもしれないので。
その点、僕なら親戚ですし、問題ないかと思いまして」

念のため確認すると、恭ちゃんと私は親戚じゃない。
けど、うまい嘘だとは思う。

親戚ってしておけば、砕けた話し方がついうっかり校内で出ちゃっても問題はないし、思い出話をしたって不思議に思われないし。
私を家まで送ってくれても、変な噂が立つ事もない。

だからと言ってこんな堂々と嘘をつける恭ちゃんをどうかとも思うけど。
一度言っちゃった以上、田口さんに訂正するのも色々説明するのも面倒だし、便乗する事にする。



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