甘い愛で縛りつけて


「朝宮くん、少し保健室で休ませてやってくれ」
「もちろんです」
「でもっ、私、本当になんでもなくて……」
「今日は、急ぎの仕事もないし、ゆっくり休んできなさい。
河合さんはいつも頑張りすぎる。
去年一年間、欠勤も一度もなかったし、特に三学期は忙しかったから疲れも出たんだろう」

優しく微笑む事務長を見て、思わず土下座したくなる。
私のせいじゃないんだけど……とてつもなく大きな罪悪感のせいで胸に穴が開くくらい痛い。
もう多分開いてるんじゃないかなってくらいに痛い。

欠勤しなかったのは、仕事に穴を開けたくなかったのもあるけど、身体が丈夫だからっていうのが大きいし、それは生まれつきだ。
だから、別に体調が悪いところを無理して出勤し続けてたわけでもなんでもないのに……。

「じゃあ、実紅。行こう」

そう言って私の腰を押す恭ちゃんには、罪悪感って感情はないのかなと疑問に思うと同時に呆れてしまう。

田口さんなんかどうでもいいけど、こんな素直に優しくしてくれる事務長に嘘をつくなんて、信じられない。
恭ちゃんの胸にこそ、穴が開くべきなのに。




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