甘い愛で縛りつけて
ふっと笑った恭ちゃんの手が、頬をすべる。
「分かってるよ。実紅は昔の俺が大好きだったからね。
こんなに変わったのに、それでも俺の未来を考えて強く出られないくらいに」
「……そんなんじゃない」
「実紅は昔から頑張り屋で泣き虫で、優しい子だったから。
今も変わってないみたいで安心した。初恋の相手だからって理由だけで、変わった今の俺まで守りたいなんてね」
じっと観察するように見つめる恭ちゃんの瞳から、思わず目を逸らした。
恭ちゃんに、私の全てを見透かされてる気がして。
恭ちゃんの言うとおり、助けを呼ばないのは昔の恭ちゃんに恋していたから。
でも、恭ちゃんの瞳は、その奥に隠している感情まで全部を見透かしているみたいに感じた。
私が……わざと隠している感情まで。
イヤだって言いながらも、心のどこかではそう感じていない自分がいるのを見透かされていそうで、恭ちゃんの目が見れない。
私が強く抵抗できなかったり、されるがままになっていたり……恭ちゃんのキスをイヤだって思えなかったりするのは。
本当に、恭ちゃんが初恋の相手だからってだけの理由なの?
自分の気持ちが分からなくて……認めたくなくて、もやもやする。