甘い愛で縛りつけて
「生徒とかうるさそうだから? 別にそこまで気使う必要もないだろ。いざって時は俺がどうにでも……」
「そういうわけにはいかないでしょ。
いくら恭ちゃんの嘘が上手くても、公私はしっかり分けたいの。大体、公務員ってただでさえ世間の目が厳しいんだからちゃんとしたい……」
そこまで言って黙った私を、恭ちゃんが不思議そうに見つめる。
その後「どうした?」って聞かれて、ため息をもらしてから答えた。
「ううん。公私をどうとか、昨日あんな事しておいて偉そうに言えた事じゃないなって思っただけ。
口先だけだなって」
保健室でキスしておいて言えたセリフじゃない。
昨日はたまたま見られなかっただけであって、普通なら誰かに見られたっておかしくなかった。
公務員としてあるまじき行為だ。
「今は色々問題になりやすいんだし、ちゃんとしないと。
だから恭ちゃんももう校内で必要以上に……なに?」
見上げると、恭ちゃんは呆れたみたいに笑っていて。
眉をしかめて聞くと、こっちを見た恭ちゃんが「相変わらずだな」って言う。