甘い愛で縛りつけて


「相変わらずって何が?」
「真面目だから」
「真面目? 私、中学の頃からそんなに真面目だった?」
「俺んとこに来る時は宿題済ませてからだったし、帰りとかに会ってうち寄った時は俺んちでやったりしてたろ。
それに、あんなに追い回してたくせに、夜六時には迷惑になるからって帰ってたし」
「……そうだっけ」

昔話が少し恥ずかしくて、目を伏せて苦笑いを浮かべる。
自分の昔の事を思い出されて話されるのは、何度されても恥ずかしい。

「まぁでも確かに何事もなく過ごせるにこした事ないしな。実紅に従うか」
「従うって、恭ちゃんのためにも絶対にその方がいいに決まってるでしょ。
別に私のためだけに言ってるわけじゃないんだから」
「へぇ。俺のためでもあるって事か」

否定はしないけど、素直に頷くのもなんとなく嫌でぐっと黙ると、そんな私を見て恭ちゃんが意地悪く笑う。

「笠原から俺に、少しは気持ちが揺らいだって事か」
「だから笠原先生の事は……」
「早く俺のモンになればいいのに」


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