孤独と嘘と愛に騙されて。
「よし、じゃあ今からっ 」
詳しい話も聞かないまま決まってしまったこと。
あくまでも私は、今、現在
玲太の彼女である。
慣れているように玲太は私の左手を器用にすくって
自分の制服のポケットの中に入れた。
繋がれた左手はぽかぽかと温かくて
なんだか居心地がよくて、
こういうのもいいな、なんて思っちゃって。
「 お前の手つめた、冷え性かよ 」
「 昔から冷え性でしたー。 」
小さかった時にも今と同じようなことを言われた気がする。
今よりずっと小さかった2人の手。
玲太はその小さな手をきゅっと掴んで
" 香恋ちゃんの手、冷たいね " とか
" 僕が温めてあげるっ " ねんて
可愛いこと言ってたなあ。
小さいころは可愛かったのに今は生意気。
でもやっぱり昔の面影は消えなくて
優しいのは変わらないまま。
「 明日7時30分!迎えにくるから 」
強引なのも変わらない。
本当に彼氏と彼女っていう憧れの関係みたいで
少しドキドキしてしまう。
フリ、だとしても
悪い気がしないのはどうしてかな?