孤独と嘘と愛に騙されて。
「 電車乗り遅れるだろ、ばーか。 」
通学に使う駅までずっと繋がれてる2つの手。
いつの間にか日課になってしまっていて
最初は彼の行動に戸惑いもしたけど
これも彼女のフリをするためなんだといつしか割り切ってしまった。
玲太が卒業さえしてしまえば
この関係も終わって幼馴染に戻るんだろうし。
「 だからごめんってば 」
駅に着けばいっそう玲太は手に力をいれて
絶対に離そうとしてくれない。
私が迷子にでもなるとでも思ってるのかも。
そう思うとなんか玲太が可愛く見えて
ふふっと吹き出してしまうことがある。
そのたびに彼は"何だよ"と不機嫌そうな表情をするんだ。
まるで小さな子供。
「 ほら、あっち。 」
そしていざ電車に乗ると
いつも通りぽっと顔が赤くなってしまう。
だって玲太が急に優しくなるから。
男の子になっちゃうから。
朝の電車はサラリーマンや学生で溢れかえってる。
そんな中、玲太は私の手をぐいぐい引っ張って
反対側のドアまで連れて行く。
そして私をドアと玲太で挟むの。