孤独と嘘と愛に騙されて。
屋上へ続く階段を
一歩、また一歩と昇って
目の前にある重い扉を開けようとしたとき。
「 ねえ、廉 」
扉の向こう側から消えてきた声。
どこかで聞いたことあるような、無いような。
「 廉は私のこと、嫌いなの？ 」
聴いてはいけないような気がしたけど、
引き返すべきか
ここでひっそり身を固めるべきか
頭をフル回転させてみるものの体が固まって動かなかった。
私のバカな頭じゃ、
この状況をどう切り抜くか必死で
扉の向こう側で行われている会話も
しだいに耳に入らなくなってきた。
ほんと、なんでこのタイミングで...。
屋上なんて来るんじゃなかったかな。
