秋探し




「椛ちゃん、奏太くん。起きて?」


ふっと目を開けると、ふたりの前には図書室の先生が立っていました。


「こんなところで寝ていたら風邪をひいちゃうわよ。
もう図書室は閉めちゃうから、帰りなさい」


電気を消しに来た先生がふたりを揺すって起こしてくれたのです。

今はカーテンを閉めに図書室の端っこの方へ。


ボーッとしていた頭が次第にはっきりしてきました。


ふたりがうつ伏せていた顔を上げた先にはニコニコ笑顔のあきちゃん……の絵が描いてある本。

破れた跡なんてちっともなくて綺麗です。


「あれ?」


本の側にはころん、とひとつのドングリ。

それから濃いピンク色のコスモスが一輪あります。


確か、図書室に来た時にはふたつともなかったはず。


椛ちゃんはコスモスを。

奏太くんはドングリをきゅっと握り締めました。





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