最期の愛は永遠に。
2恋は突然に
ピピピッ ピピピッ ピピピッ

「んーもうちょっとだけ」


ピピピッ ピピ…

「あと5分だけ〜」



眠い目をこすりながら寝返りをうったその時だった。

「知恵!起きぃや!7時まわってるで」

なかなか起きない知恵の頭にお母さんのイライラした声が響いた。


「え!?嘘っ?まじ?やばいやばい!早くしな」

朝は低血圧な知恵。
お母さんに起こされ、独り言を言いながら制服に着替えるのが定番だ。

起きて最初に発する言葉が「え、嘘?まじ?」。


乙女の『お』もない。
ひょっとすると一画目を書こうと、横線を引くことすらできない。

だって普通、女子高生は学校に行く1時間前には起きてるんじゃないの?
髪の毛セットや化粧とか……


知恵は化粧はしないし短髪だし1時間も前に起きる必要なんてないんだけど。



「いってきまぁす」

起きて5分も経っていない。
もはやここまで来るとマッハ級の早さだ。


「いってらっしゃい」

お父さんのお弁当を作りながら、いつも見送ってくれるお母さんには感謝している。



毎朝起こしてくれて、お父さんのお弁当より早く知恵のお弁当を作ってくれてるから。


どうしてそんなに早く学校に行くの?とお母さんに聞かれたことがあった。




その理由はただ一つ。
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