意地悪なキミに、スキをあげる。
「遅い」
朝陽さんの低い声が聞こえて、目が点になった。
なっ、なんでなんで…っ。
まだノックしてないのに!
扉開けてないのに!
「朝陽さ…っ」
「黙れうるさいクソあお」
無理やり引っ張られた腕を、引き寄せられて、なぜか抱きしめられていて…。
ど、どどどどうたんですかっ?!
なんか朝陽さんのキャラじゃないですっ!
「ね…朝陽さ…、」
すこし苦しくて身をよじったら、ものすごい罵倒が飛んできた。
「動くなバカが」
本当に苦しいくらいに抱きしめられて、朝陽さんのキャラ変ぶりについていけなくて、
苦しくて、
でもなんか嬉しくて
無駄に心があったかくなって
気づいたらあたしも朝陽さんの背中に腕を回してた。