意地悪なキミに、スキをあげる。
「ちゃんと幸せにする。約束な」
「…はい」
立ち上がって、備品庫を出て行こうとした木下が振り返った。
「あっせんせー。数学、5にしといてよ」
「ふっ。 それは数学がんばったやつにつける成績だから」
「え〜? あおが毎日先生に会いたいって情報、いい賄賂(わいろ)だと思うけど?」
今度は屈託のない笑顔で、木下は備品庫を出て行った。
いい情報ありがとな。
木下は優しいから、きっといい奴に出会えるよ。
あおじゃないけどな。
「…さて。 愛しの彼女に会いに行きますか」
すこし開いた窓を閉めて、備品庫を出た。
あお。
俺だって、毎日会いたいんだからな。