意地悪なキミに、スキをあげる。
「…きっと先生の教え方が上手だからですねっ」
「…それはどうも」
照れ臭そうに笑った朝陽さんを見て、心がほっこりした。
「手出して」
「へ?」
「はやく」
そろ〜っと出した手に、重なった朝陽さんの手。
だけどパッとすぐに離れて。
一瞬触れただけで、伝わってくる熱。
ドキドキします…っ。
あたしの手に何かを握らせて
『先に行ってろ』と小さく言ってから、
「ごめんね、白崎さん。 この調子で数学頑張ってね」
と微笑まれた。
なにかはわからないけど、あたしの手の中にあるなにか。
職員室を赤い顔で退散した。
うわあ。
うわっ…職員室で、手…一瞬だけど繋いじゃったよ。