意地悪なキミに、スキをあげる。
もらった紅茶
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《あお》
特に用があるわけではない。
読みたい本があるわけでもない。
「……また来ちゃった…」
東図書館、と大きく書かれた白い建物の中に足を踏み入れた。
小さな子供からお年寄りまで、幅広い年齢層が使用する図書館。
人の匂いと、本の匂いが混ざり合う空間。
静かな図書館に入るのはこれで何回目だろう。
数えきれないほど通ってる。
「え、お前また来たのかよ」
「朝陽さんっ!」
図書館に入った途端、返却用のカートを持った朝日さんが通りかかった。
一番最初に目が合ったのが朝陽さんなんて幸せ!
「お前来すぎ…」
「何言ってるんですか〜?図書館は利用者があっての公共施設ですよ?」
「あーハイハイ」
聞き飽きた、とでも言うように、朝陽さんは奥の本棚に本を並べていく。