意地悪なキミに、スキをあげる。




「なあ」

《…なんですか》

「すげえ会いたいんだけど」




電話の向こうで、声にならないような
びっくりしたような声が聞こえて

あおに聞こえないように笑った。




いつになったら慣れんの?

まあ見てて面白いからいいけど。




《むっ無理ですよ!今何時だと思ってるんですか?!もう寝ようとしてたんですけど…》

「わかってるよ。言っただけじゃん」

《…だったら言わないで下さい》




小さな声が耳をかすめた。



やっぱ…会いてぇな…。




そのとき聞こえた小さなあおの声。




『あたしも会いたくなっちゃったじゃないですか…バカ朝陽さん』




あお…。




「お前、俺にバカなんてずいぶん言うようになったな?」




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