君と過ごした100日間は。


「あっ・・・椅子持つよ!」

「ありがと。 てか重いね」

「そ、そうだね・・・」

「転入してくるってわかってるなら、机ぐらい用意しててほしくない?」

「あっ、それ思ったっ! ちょっと失礼だよね!」

「だよねぇ~」


私に激しく同感されたのが嬉しいのか、困った笑顔じゃなく、今度は嬉しそうな笑顔になった。

なんか芦川くんって、わかりやすい・・・。


そこから教室までの私達の会話は、先生のことについてだった。

“実は結婚してるんだよ”とか、“この学校では結構男子にモテるんだよ”とか。

なんかどうでもいい話ばっかりだったけど・・・。

たまに面白いこと言ってくれる芦川くんは、朝会ったときのうじうじ感は、まるで嘘だったかのように明るく話してくれた。

私は、それが嬉しかった。

遠慮とかなくて、素直に話してくれる友達みたいな雰囲気になれたから。

私がこんなこと考えてる間にも、芦川くんはまた面白いこと言ってくれる。


「ははっ、芦川くん、意外に面白いっ」


笑いながら彼の顔を見てみると、彼は少し切なそうな顔をしていた。


「芦川くん? どうしたの?」


私が顔を覗き込むと、芦川くんはさっきの笑顔に戻り、「なんでもないよ」と答えた。

でも私は、何かか引っかがったような感じがした。

だって・・・。



その笑顔は、さっきの楽しい話をしていたときの笑顔と違って、まるで悲しさを我慢しているような笑顔だったから。
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