君と過ごした100日間は。
「僕の事情で来た訳だから、わがままとか言えないし」
「そっか・・・」
それで、僕たちの会話は終わってしまった。
少し気まずい空気が流れる中、それでも僕たちは、横に並んで歩いていた。
「・・・あのね」
少し小さめな声で、雪菜が話しかけてきた。
そして雪菜は、僕の心臓を止めるようなことを言ってきた。
「芦川くんといつも一緒にいると、まるで昔から一緒にいるような感じになっちゃうの」
僕は息を飲んだ。
それはそうだよね。
僕たちは双子なんだし、昔はずっと一緒にいたんだから。
雪菜の記憶は覚えてなくても、一緒にいた感じは覚えてるんだね。
「でも、それは・・・芦川くんがお兄ちゃんに似てるからだと思うんだ」
「・・・そっか」
そうゆうことを言われるだけでも、少し嬉しかった。
僕のことを完全に忘れているわけではない。
そう思うと、なぜか少しだけ自信がついた気がする。
なんの自信かはわかんないけどね。
「あ、私の家見えてきたよ」
「ほんとだ」
真面目な話をしてるうちに、自然と雪菜の家に行ってしまったようだった。
ここから僕の家は遠い。
雪菜が、お父さんと会わないように、わざと離れた場所に引っ越した。
「じゃあ、また明日ね、芦川くん」
「うん、また明日」
お互い手を振って、僕たちは別れた。
別れたあとも、僕はモヤモヤした感じでいた。