キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
「──カンナちゃん?」
耳に心地好い甘い声が響き、私は我に返った。
顔を上げると、ソファーに座る私を怪訝そうに見下ろす蘭さんがいる。
いつの間に帰ってきてたんだろう。
「あ……お帰りなさい!」
「どうしたの?ぼーっとしてたけど大丈夫?」
「大丈夫です!ちょっと考え事してただけなんで」
明るく笑ってみせるけれど、さっきの蓮さんの言葉が頭から離れない。
「そう?具合が悪いとかじゃなければいいけど……」
そう言って、心配そうな顔をした蘭さんの温かい手が私の額に触れる。
それだけでドキンと胸が鳴ってしまうけれど、この優しさも上辺だけのものなんだろうか……。