キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
「それほどカンナ様は想われているということです」


優しく微笑みながらそう言われ、はっとした。


そうだ……考えればすぐにわかることだった。

もしかしたら、三嶋さんとあのまま言い争いになっていたかもしれないし、そんなことになったら蘭さんの評価だって下がってしまう。

そうなり兼ねない状況だったにも関わらず、彼は私のために言ってくれたんだ。



『カンナは僕の大切な人ですから』

あの言葉は、きっと彼の純粋な気持ちだったのに、私──



「信じてあげられなかった……」



疑ってばっかりで、嫌なことを言ってしまった。

それなのに、彼は私を責めなかった。

むしろ謝ってくれて……



彼の優しさを、愛を独り占めしたかっただけの自分がちっぽけに思えて、塩辛い涙が頬を伝った。



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