キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
「おいで」と言う蘭さんは、私の手を引いてどんどん中へ進む。

私達を見た店員さんはにこりと笑顔を向け、うやうやしくお辞儀をしてこう言った。



「お待ちしておりました、四ノ宮様」

「もう仕上がってますか?」

「はい!ただ今準備してまいります」



え?え??

前から知っていたようなやり取りをする店員さんと蘭さんを、挙動不審に交互に見やる。

そんな私の背中に手をあて、蘭さんは椅子に座るように促した。



「蘭さん、これはどういう……」

「お待たせいたしました」



私の声を遮って、店員さんが私達の前にあるものを差し出す。

それを見た瞬間、やっと蘭さんの思惑を理解して瞼の裏が熱くなった。



「これ……」

「カンナのものだよ」


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