キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編
──そして。
蘭さんは言った通り、お昼前には帰ってきた。
家に帰るための荷造りをしていた私は、蘭さんに「お帰りなさい」と声をかけながら部屋を確認する。
「えーと、化粧品は持ったし、忘れ物はない……よね」
「忘れても大丈夫でしょ。またいつでも取りに来るか届けるかすればいいんだから」
「あは、そうなんですけどね」
「でもこれだけは忘れずに持っていってほしいな」
後ろにいる蘭さんにそう言われ、何だろうと振り返ろうとすると背中からふわりと抱きしめられた。
「蘭さ──んっ…」
そのままくいっと顎を持ち上げられ、唇を重ねた。
その優しいキスにほだされそうになっていると、ふいに彼が腕の中に囲ったままの私の手を取る。
そして何か固いものが指をなぞった。
──左手の薬指に。