〈短編〉記憶の果てあるのは……?〈BL〉

第一章§記憶喪失と真実

弘也視点

ﾎﾞｸが目を
覚ましたのは
見知らぬ場所だった。

｢此処何処?｣

ﾎﾞｸの独り言に
答えたのは
病室に入って来た
見知らぬ男の人だった。

｢目覚めたのか!?
此処は病院だ｣

男の人はﾎﾞｸを抱きしめた。

｢あの、
どちら様ですか?｣

そう聞いた瞬間、
その人は固まった。

｢弘也｣

呼ばれたから
とりあえず返事をした。

｢はい｣

名前を
知ってるってことは
少なくとも
初対面じゃない。

しかし、思い出せない。

｢少し変な質問を
するが正直に
答えてくれ｣

よく分からないけど頷いた。

｢弘也は今何歳だ?｣

十三歳と答えた。

他にも色々聞かれた

｢そうか、弘也は
今、中学生なんだね｣

会話の中で
自己紹介してくれた
閏間稜先生は
高校教師らしい。

｢あの、
聞いてもいいですか?｣

何故ﾎﾞｸは
中学まで戻って
しまったのだろうか?

｢俺が答えられる
範囲なら幾らでも｣

優しい人だ。

｢ﾎﾞｸは何故
忘れて
しまったのでしょうか?｣

閏間先生は
一瞬顔を歪めてから
話し出した。

｢その前に弘と
呼んでいいかな?｣

訊かれたから頷いた。

｢あ、はい、どうぞ｣

よく分からないけど
皆名前で呼ぶしﾎﾞｸは
気にならないから
返事をした。

ありがとうと。

お礼を言ってから
稜さん(そう呼んで欲しいと言われた)は
話し出した。

☆ﾎﾞｸが本当は高三なこと

☆ある女子生徒と。
担任のせいで
いじめられてたこと。

☆そのせいで
ｽﾄﾚｽが溜まり
記憶喪失になったこと。


☆そして、稜さんと
恋人同士ってこと……


今高三だとしたら
丸々三年間の
記憶がないってことだ。

勿論、稜さんとの
思い出も覚えてない。