〈短編〉記憶の果てあるのは……?〈BL〉
第二章§君達は誰ですか?
あの日、稜さんに
聞かされた信じがたい
真実を頭の中で
整理していたら
病室に姉さんが
入って来た。


「目が覚めたのね
良かったわ」

ベッドに寝てるボクに
抱き着いた。

あれから四ヶ月経ち、
ボクの精神も
安定してきた
ところだった。

しかし、
彼らが来たことで
ボクはまた
精神不安に
なりかけることを
まだ知らなかった……

その日、
姉さんは大学の
講義が夕方まで
入っていて
稜さんは
職員会議だった。

つまり、ボクは
病室で一人。

学生は下校時刻だった。

コンコンと病室のドアが
二·三回ノックされた。

誰だろう?

姉さんや稜さんは
直接開けて入ってくる。

少し考えてドアを開けた。

この選択が
再び地獄への
一歩とは知らずに……

開けた先に居たのは
制服を着た男女五人

「へぇ~
あの話本当だったんだな」

先頭に居た男が言った。

「最初、
嘘かと思ったよね」

続けて隣に居た
女が言った。

ボクは一言も
発せないままだ。

そして、頭の中で
警告音が鳴り響いた。

その時この判断が
間違ってたことに
気付いた……

ボクがドアの前に
居るから病室の中には
入れないのが唯一の救いだ。

五分程経った頃、
稜さんが
走って来る姿が見えた。

内心安心した……

「お前達、
こんな所で何してるんだ」

その声には
怒気が含まれていた。

更に十分後、
あの五人を帰して
今は稜さんと
病室の中に居る。

「何でアイツらが
居たんだ?」

ボクは正直に答えた。

ノックされて、
開けたら彼らが居たと。

「今度からは
ちゃんと確認
してから
ドアを開けろよ?」

さっきとは
打って変わって
声に怒気がない。

稜さんの話によると
あの五人は
ボクがいじめられる
発端となった
女子生徒の仲間らしい。
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