ふたりのガールフレンド




いつも部屋着として着ているTシャツに頭を突っ込む。

ベッドの真ん中で大きな繭玉のように毛布にくるまっているミズキの声はくぐもっていて、そこから感情を読み取ることはできなかった。


「優那、遅刻してきてね。登校してきたと思ったら急に殴られたの」

「そう」

「彼女でもない私がどうしてミズキの一番傍にいるの、って言われた」

「……優那泣いてた?」


そんなの、分かりきっていることじゃないか。


「泣いてたよ、目真っ赤にして。こっちが泣きたいくらいなのにね」


わんわんと声を上げて泣く優那は周囲の注目と同情を集め、気づけば私が責められる立場となっていた。

『瑞希くんもずるいけど、伶ちゃんはもっとずるい』と、その言葉を繰り返す優那の目は大好きな彼氏を奪われまいと、必死な色を宿していたように思う。

瞳の奥がギラギラとしていて、なぜだか私にはそれがとてつもなく怖いものに見えたのだ。



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