小春日和
はやる気持ちのままリビングで勉強中の姐さんの元へと駆けつければ、突然現れた俺にびっくりし手にしていたシャープペンシルをポロリと落として固まる姐さん。
大きく目を見開き唖然とする姐さんに、俺は勢い込んで「好物は何ですかっ」と訪ねた。
突然やってきて意味不明な質問をする俺に、ポカンとする姐さんに何度も同じ質問を繰り返せば、強張った笑顔で返ってきた答えは『……卵…かな?』だった。
他には?と更に食い下がれば、困ったようにあちこちへと視線をさ迷わせて困惑する姐さん。散々粘った結果得られたら答えは《茶碗蒸し》と《プリン》だった。
茶碗蒸しもプリンも卵だし!しかもプリンは菓子ですよ!!
内心で激しく突っ込みながら姐さんをみれば、顔色が真っ青だ。やべえ、怖がらせちまったよ。
徐々に俺達に慣れてきたとはいえ、未だ完全に信頼を寄せて貰えてない現状では、これ以上の話しを聞き出す事は無理だと悟った俺は、姐さんに驚かせてすみませんと頭を下げると、その場を辞した。