小春日和
「姐さんに専属の付き人が付くことになった。俺と森田、紫藤に松野、以上の四名だ」
専属付き人に舎弟頭である佐武さんが?嘘だろ。
異例とも言える人事に、一旦は静まった場が俄かに騒然となる。
佐武さんは、先代の組長の時代から幹部だった人だ。
普通は代替わりをすると、新しい組長の下、幹部も一新される。
そんな慣例の中、佐武さんを含めた数名が、その実力を買われて今の組長の下に下った。
正直言って今までの姐さんへの対応は、組長の愛人《イロ》に対するものに近かった。
その原因は、姐の披露を先延ばしにしていた事にあったと思う。
飽きたら捨てる。それぐらいの存在だろうと、誰もが思っていた節があった。
だからこの異例とも言える人事に、一同は息を飲み、俺はそのメンバーの最後に自分の名前が上げられた事に、聞き間違いかと耳を疑った。
「黒田。お前には外部への対応の責任者を任せる。
内部への周知徹底は幸村。お前に任せる。
おめえらはこの二人の指示に従い、必ず明朝までには体制を整えとけ。いいな!!」
「「「はい」」」