小春日和
その中で姐さんが一番、リラックスして接していた相手が俺だったと言われた。
一般人で、俺達みたいな極道者とは対局で生きてきた姐さん。
いつも控え目で、今までの愛人《イロ》達と違って偉ぶった所が全然なく、俺みたいな下っ端にまで、すっげえ丁寧に接してくれる。
そして何より組長に心底惚れてて、組長に甘えたいのに、俺達に遠慮してなかなか甘えられない。
そんな態度が見ていていじらしく、つい学校への送迎の道すがら、なにくれとなく話し掛けていたら打ち解けてくれた。
打ち解けてくれた後でも態度が横柄になる事もなく、だから益々その人柄に惹かれたというか。
決して姐さんの事を女として好きだって訳じゃねえ。人柄に惚れたんだな。
「今のところ、この四人の中で一番信頼されてるのはお前だ。
控え目な方だから、なかなか気持ちを露わにされないが、信頼してるお前になら少しは気持ちを明かしてくれるだろう。
だからお前を付き人に選んだんだ。せいぜい精進しろよ」