小春日和
お弁当
 

姐さんの付き人になって二週間。



舎弟頭の佐武さんが姐さん付きになった事で、組内の雰囲気は一変した。



突然、大勢の厳つい男達にかしずかれ、チヤホヤされりゃあ最初は戸惑うかもしんないが、慣れてくれば自然と尊大な態度を取るようになるもんだろ。



ところが姐さんは、尊大どころか控え目な態度は変わることがなく、殆ど自己主張さえされない。



こっちの世界にいる女は、どいつもアクが強い女ばっかだから、そんな控え目な姐さんの姿に、俺達の好感度は上がる一方だ。



そんな姐さんに対する目下最大の悩み事といえば、食がすっげえ細いこと。



退院した翌日から、姐さんは俺達と一緒に食事をされるようになった。それと同時に、俺は料理番の岩城さんから、姐さんが何をどれだけ召し上がったか、記録して報告するように指示された。



何でそんな事をって疑問に思ったが、上の言う事は絶対だ。だから初めて同じ食卓についた日から、きちんと召し上がった量を記録してんだが、その食べる量の少なさには驚いた。



料理が口に合わないのか、はたまたムサい野郎共と同じ食卓では食が進まないのかと心配したが、姐さんの少食はその生い立ちに原因があると、若頭の龍二さんから聞かされ胸が痛んだ。


 

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