空のこぼれた先に
人波にまぎれていくアメリアの後ろ姿を見送って、なんとなしに視線を向けたのは、彼女が不思議がっていた、大きな天幕。
……何なのか、確かに気になるな。
俺は心の中で呟いて、歩きだした。
このまま家に戻ったところで特別用事があるわけでもない。
それならもう少しあれに近づいてみようか。
────そんな思いつきで、俺は近づくにつれてその存在感を大きくしていく天幕を見上げたのだった。
ざわざわと賑やかな通りは、どうやらアメリアと出会ったところがいちばん混雑している場所だったらしい。
普段に比べれば格段に人通りは多いとはいえ、歩みを進めていくにつれて、さきほどより格段に歩きやすくなってきた。
さっきまでは一歩進むたびに誰かとぶつかっていたけれど、だんだんそんなこともなくなってきて、思わず小さく息を吐き、肩から力が抜ける。
もともと、人混みは苦手だ。