空のこぼれた先に

これでもか、という数の人でごった返している大きな通りから一本細い道に入ると、先程までの喧騒が嘘のよう。まるでいつもの日常のようだ。

俺は早足だった歩調を緩め、自宅を目指す。


祭りを覗いてみよう、なんて、らしくないことを思ったのが間違いだった。

ニナおばさんに頼まれた荷物を届けたら、そのまままっすぐ家に帰ればよかったんだ。

そうすれば、あの天幕が一体何なのか、なんて付きとめようとはしなかったはず。


「……」

なんとなしに、空を見上げた。

起きた時にはカラリと晴れてすっきりとしたブルーだったのに、今はどことなく灰色がかった色をしている。
この時期は突然の雨が多いから、もしかしたらひと雨来るかもしれない。


せっかくの祭りなのにな……。

この祭りのために遠方から来ている人だっているし、ニナおばさんやアメリアのようにこの日のために準備を重ねてきてる人だっている。


「明日まで持ってくれればいいけど」

そう呟いて、視線を空から前に向けようとしたときだった。

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