空のこぼれた先に


「うわ…っ!?」

ドンッ、と横から何かにぶつかられたような衝撃が走った。

ぶつかられたままに身体が横に傾いて転びそうになるけれど、なんとか体勢を立て直す。


「な、何だ……!?」

見ると、俺の足もとで人がしりもちをついていた。


十字路になっている細い道。
その右側の道から勢いよく飛び出してきたその人が、俺に体当たりをしてしまったようだ。


その人は、濃いブラウンの外套を着ていた。

外套についたフードを目深にかぶっていて顔は分からないけど、その頼りなげな体格から女だと分かる。

緩いウェーブがかかったブロンドの髪が、フードでは隠しきれない首元から零れていた。


「……悪い。大丈夫か?」

ぶつかられた側ではあるけど、空なんか見上げながら呆けて歩いていた俺にも非があると思い、謝罪の言葉を口にした。

なかなか立ち上がらない彼女に、手を差し伸べる。

しかし、深くかぶったフードのせいで、突然手が伸びてきたように思えたのかもしれない。

俺が手を出した瞬間、彼女は怯えたようにびくりと身体を震わせた。


「……おい?」
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