あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
それからわたしは、どうやって過ごしたのかわからない。
ボーッとしながら過ごしていた気がする。
いつの間にかジャージに着替えていたし……いつの間にか綾香と一緒にいた。
どうやって…?
親友の綾香の話もちゃんと耳には入らない。
それに気づいた綾香は、帰る直前にわたしの顔を覗き見た。
「ねぇ……何か…あったでしょ?」
わたしは、いつもは誤魔化すのに……今回ばかりは、誤魔化せなかった。
その証拠に…………
「ふっぅう…あや…かぁ……」
綾香に抱き着いて泣いてしまった。
「楽々…?」
滅多に泣かないわたしに驚いた綾香だったけど、優しく抱き締め返してくれた。