あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
「楽々……泣くのはまだ早いよ。
確かに気持ちに気づくのは遅かったけど……
彼が彼女のこと好きなのかわからないし、彼からキスしたのかもわからないんでしょ?
だったら、泣くのは彼から答えを聞いてからじゃない?」
綾香は、一気に言った。
涙の止まらないわたしの背中を擦りながら。
確かに……そうだ……
わたしは、まだ…………彼のことを、何も、知らない……
気持ちも、今までの行動も…………
何であんなことしたの……?
何で…助けてくれたの?
それを……確かめなきゃ……
「ありがとう…綾香。
少しだけ…すっきりした……」
いつの間にか涙は止まっていた。
「そっか……よかった!」
綾香は、明るく笑って言った。
わたしがもう、泣かないように……