あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
「あ、あなた……は……」
わたしがそう呟くと彼は…男は、わたしから口を離しわたしと視線を合わせた。
「だ、れ……?」
男は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐににこやかに笑った。
「誰って……
俺は、俺だ。他の何者でもない」
そう言って、男は鼻で笑った。
確かに、見た目はそっくりだ。
喋り方も、歩き方も、ネクタイを緩める癖も………
だけど………
「どうした……楽々?」
!?
……この人…やっぱり……
「不安……か……フッ
なら、確かめさせてやるよ」
目の前の男は、手を伸ばして来たかと思うと、わたしの顎をクイッと、軽く上げた。
わたしは、唇を噛み締め、力の出る限り男の胸板を押した。