あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
彼を思いだし、閉じた目をまた開いた。
彼ならこの状況を……どうにかしてくれそうな気がする……
何でだろう……根拠はないんだけど……
彼なら……
いいかな……?
駄目元でも……助けを求めて…いいかな……?
いいよね……?
アルトくん……
アルトくん…
「たす、け…て……アル、ト…く……」
「何言ってんだ?
今さら助けを求めたって……」
男が口にした瞬間に強い冷たい風が……
吹いた。
「チッ…何だよ…この風は……」
この風……
この風…知ってる。
いつもより強いけど…この風は……
わたしは風が吹いている中心を探した。
いた……
やっぱり……来てくれた……
風が吹いている中心に彼は……いた。
「ア、ルト…くん……」