あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー



2回目に彼の名を声に出すと、風が止み……
彼が……わたしの近くに来ていた。




パチンッ……



「うわっ!?な、なんだ!?」





彼は指だけを鳴らすと、わたしから男を引き離した。


男は軽く宙に浮いている。




「大丈夫……か?」




彼はわたしの傍に膝をつき、わたしを抱き上げ、声をかけてくれた。



もう、声すら出せず縦に頷くだけしか返答出来なかった。





「そうか……。
もういい……ゆっくり休め……」





アルトくんは手のひらをわたしの目に被せ、目を閉じるよう促した。



わたしもそれに答えるように…目を閉じ……







アルトくんの腕の中で……意識を手放した。









< 155 / 170 >

この作品をシェア

pagetop