あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
2回目に彼の名を声に出すと、風が止み……
彼が……わたしの近くに来ていた。
パチンッ……
「うわっ!?な、なんだ!?」
彼は指だけを鳴らすと、わたしから男を引き離した。
男は軽く宙に浮いている。
「大丈夫……か?」
彼はわたしの傍に膝をつき、わたしを抱き上げ、声をかけてくれた。
もう、声すら出せず縦に頷くだけしか返答出来なかった。
「そうか……。
もういい……ゆっくり休め……」
アルトくんは手のひらをわたしの目に被せ、目を閉じるよう促した。
わたしもそれに答えるように…目を閉じ……
アルトくんの腕の中で……意識を手放した。