あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
「そう、むきになるな……」
と、鼻で笑う男。
その感じ……人を見下すような仕草………
「やっぱり……あなたは……あの夜の人…?
わたしが…電車に引かれそうになったのを……助けてくれた人……?」
この人を目の前にすると、なぜだか鼓動が早まる。
噛み痕もズキズキと疼く。
わたしは……男から目を離さずに聞いた。
男もわたしから目を離さない。
視線が絡み合ったまま、男は一回目を閉じた。
それからゆっくりと、瞼を開け……次に視線が合ったたときに鼻で笑いながらこう言った。
「俺じゃなければ……他に誰がいる……?」
やっぱり…この人は、あの人なんだ……
で、でも……
「目の色……どうして…違うの?」
あの時は紅色だったのに……今は真っ黒。
「あぁ……これは…本当の姿を隠すため……
あのままなら、この世界じゃ……不自然だろ……?」