あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
夕闇
彼が転校してから、数週間が経った。
だけど、転校初日の日以来………まともな会話はしていない。
席は、隣…なのに。
全てが夢だったかのように……何も、ない。
太ももの噛み痕も、もう少しで………消える。
今は、担任の数学の授業中。
隣の席の彼は、頬杖をついて外を見ている。
「ねぇねぇ……」
と、聞こえてその声のした方を見ると、クラスの女の子が彼を見て、きゃっきゃっしていた。
転校初日から人気は絶えず、今もなお彼はファンを作っている。
そういえば、転校してきた日は、あの後結局、学校の案内もしなかった。
彼が、教室を出た後に思い出して追っかけ、声を掛けたけど、『そんなものは…必要ない』と、冷めた瞳を向けられて言われた。
あのとき感じた胸の傷み………
心臓を締め付けられたような…刺されたようなあの傷みは……一体………
何の…傷み………?