あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
早く……はやく……戻ってきて綾香…………
涙が出そうなのを堪える。
ジンジン…ジンジン…
熱い………
傷口が…かぁっと熱くなる。
そこにだけお湯を掛けられたみたいに………
「楽々!!」
綾香が先生を連れて戻って来た。
「野崎!大丈夫か?」
二人はわたしの足を見ているけど……くっついている者には気がついていない。
何で……見えないの……?
『助けて欲しいなら……俺のところまで来い』
頭がズキッとして、声が響く。
これは……
と、思い声の主のいる方向を見た。
さっき、クラスの女の子に囲まれていた彼を。
今は、コートを囲んでいるフェンスに寄り掛かって、こっちを見ていた。