あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
逆らえない相手
「先生。手当て、お願いします!」
両脇を支えて貰いながら、足を引きずってようやくたどり着いた保健室。
綾香が先生に声をかけると、先生は「あらあら~」と、椅子から立ち上がった。
「そこに座ってね」
と、さっきまで自分が座っていた椅子に目を向けた。
穏やかなこの先生は、天原ーアマハラー先生。
下の名前は……忘れた。
わたしは、二人に促され先生の指示した椅子に腰を下ろした。
足にはまだ……あの小さい者が着いていた。
「どうしたの、これ?」
「転んでしまって……」
誰かに押されて。
「転んだところにガラスか何か、あったのかしら?
これは結構痛いわよ~」
と、切り傷のところから消毒を始めた。